今回は “夏うた”に登場する男性について
その両極端のタイプをピックアップしてみます。
サンプルは、back numberの「わたがし」と
湘南乃風の「睡蓮花」に描かれた男性像です。
この2つの曲に登場する主人公の男は、
女性へのアプローチの仕方がまったく違います。
「わたがし」の男は、どんなタイプでしょうか。
まずは、曲を聴いてみましょう。
「想いがあふれたらどうやって
どんなきっかけタイミングで
手を繋いだらいいんだろう
どう見ても柔らかい君の手を
どんな強さでつかんで
どんな顔で見つめればいいの」
(「わたがし」back number 2012)
シャイな男子には、あるあるネタですね。
私も10代の頃はそうでした。(遠い目)
いまは男女問わず、多くの人がそうかもしれません。
手をつないだら、またその次の段階があるわけで、
“正しい”恋愛のやり方に悩む男の子にとって
最も必要なものは正解よりも、勇気だったりします。
さて、もう一方の「睡蓮花」の男は、どんなタイプでしょうか。
「また始まった 真っ裸(ぱ)で走り出したSeason
夏は好きか? 間違って交わった 砂浜のReason
付き合ってみな 目が合って 気が合って
マジになったSeason 欲望のまんま!!」
(「睡蓮花」湘南乃風 2007)
こちらの男は、ぐずぐず悩む前に走り出しています。
欲望のままに “間違って”交わろうがどうしようが、
付き合ってみりゃいいじゃん、と誘いかけてます。
俗にいう “パリピ男子”のようです。
「わたがし」の男は、浴衣姿の似合う彼女を
夏祭りに誘えただけで「泣きそうだ」と言ってるのに、
「睡蓮花」の男は、「悪ノリのHeartbeat」で
「暴れまくってイイぜ!!」とタオルをふり回してます。
経験の有無が、男の考え方を大きく変えてしまうのか?
性格の違いが、男の行動パターンを分けてしまうのか?
グズグズな僕と、ゴリゴリな俺、
あなたが女の子なら、どちらと付き合いたいですか?
「横にいるだけじゃ駄目なんだ
もう君の気を引ける話題なんて
とっくに底をついて
残されてる言葉はもう
わかってるけど」
(「わたがし」back number 2012)
「残されてる言葉」とは、たぶん「好きです」とか
「付き合ってください」といった告白でしょうね。
二人は、帰りに手をつなぐことができたのか。
“わたがし”が溶けるような、甘いキスはできたのか。
この曲は、二人の関係を結末まで描いていません。
恋愛というモヤモヤして落ち着かない感情を
リアルに聴き手に想像させる構成になっていて、
恋の「もどかしさ」が巧みに表現されています。
告白寸前のギリギリの心情が描かれることで、
聞き手は、告白すんのかいせんのかいと焦らされ、
過去のドキドキした経験を思い出したりします。
一方の「睡蓮花」の男は、とてもワイルドで直情的です。
歌詞を読んでも、何を言いたいのか正直よくわかりません。
もう一度、確かめてみましょう。
「睡蓮の花のように…」と抒情的に歌いかけたと思えば、
「濡れたまんまでイッちゃって!!!」と下ネタをぶちかます。
「ベッドで涙を浮かべ」、「寂しくなんかねぇ‼」と独りごち、
「地面向いて足踏みしてるんじゃねぇ!」と説教を垂れ、
「出会って泣いて、笑って泣いて」を繰り返す。
まるで情緒不安定。内容は、ほぼ支離滅裂。
しかし、この“なんでもあり”の自由さこそが「睡蓮花」の魅力です。
大切なのは理屈ではなく、ノリ(=バイブス)なのです。
下品とか頭悪そうとか、嫌う女性もいるかもしれません。
しかし「睡蓮花」の男の強みは、平気でバカになれることです。
間違ったり、失敗して笑われることを恐れないことです。
その逆に、ナイーブな恋に悩む「わたがし」の男の子は、
バカになる勇気がまだ足りないのかもしれません。
さて、「わたがし」の男と「睡蓮花」の男を、
異なる両極端のタイプとして紹介してきましたが、
実は、どんな男もその両面を隠し持っているわけで、
「わたがし」の男が、バカになって楽しむこともあれば、
「睡蓮花」の男が、ナイーブな恋に悩むこともあります。
それは、ビーチでナンパ待ちをする水着のギャルが
「わたがし」をプレイリストに入れて聴いていたり、
水色にはなびらの浴衣が似合う清楚な女の子が、
「睡蓮花」でタオルを回すこともあるのと同じです。
男であれ女であれ、他者とは永遠の謎なのです。